
第5回 南俊郎シェフの「熟成阿波尾鶏手羽中の豆豉蒸し」
「熟成阿波尾鶏もも肉の海南鶏」
第5回目のプロフェッショナルは、東京・港区南青山で上海家庭料理をベースにした中華を営む「ミモザ」の南俊郎さんです。
阿波尾鶏と同じ徳島ご出身のシェフに、阿波尾鶏や上海料理について伺いました。
レシピ1:熟成阿波尾鶏手羽中の豆豉蒸し(トウチ蒸し)
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材料 4人分
熟成阿波尾鶏手羽中 8本 塩 2g 酒 大さじ4 小麦粉 大さじ4 1/2 片栗粉 大さじ3 サラダ油 大さじ1/2 揚げ油 適宜 ◎特製豆豉ダレ
酒 200cc 甜麺醤 30g 塩 2g 砂糖 10g 豆豉 10g 鷹の爪 5本 ごま油 大さじ1
作り方
- 手羽中に塩と酒をもみ込み、小麦粉と片栗粉を加えてよく混ぜ合わせ、サラダ油を加えてさらに混ぜる。
- 1を160度に熱した油で5分揚げる。
- 特製豆豉ダレを作る。鍋に酒を入れて火にかけ、沸いたら甜麺醤、塩、砂糖を加えてひと煮立ちさせ、他の材料を加え混ぜる。
- ボールに2の手羽中と3を入れてからめ、ラップをして15分蒸し、皿に盛る。
レシピ2:熟成阿波尾鶏もも肉の海南鶏(カイナンチー)
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材料 4人分
熟成阿波尾鶏もも肉 1枚 塩 2g にんにく(おろす) 2g レモン汁 大さじ2 オリーブオイル 大さじ2 白ワイン 大さじ4 ◎タレ(作りやすい分量)
酒 360cc *塩 8g *グラニュー糖 60g *たまり醤油 20g *ごま油 大さじ2 長ねぎ(みじん切り) 1本 パクチー 適宜
作り方
- もも肉は、厚い部分に切れ目を入れて厚さを均等にする。
- 1 の皮に塩とにんにくをすり込み、皮を上にしてバットに入れ、レモン汁、オリーブオイル、白ワインをふりかけ、200度に熱したオーブンで 15~20分焼いて火を通す。
- タレを作る。鍋に酒を入れて火にかけアルコール分をとばし、*の調味料を加えてひと煮立ちさせる。
- 4. 2の鶏肉を8等分に切って皿に盛り、長ねぎをのせて2の肉汁を上からかけ、さらに 3のタレを大さじ7ほどかけて、パクチーを盛る。
TOSHIRO’S POINT
- タレは蒸し鶏や揚げ鶏(油淋鶏)のタレにも合う。
- 焼いた鶏の肉汁はおいしいソースになるので、すべて使う。
インタビュー
- Q:南シェフのご出身は阿波尾鶏が育つ、徳島のつるぎ町だとか。故郷はどんなところですか?
- 四国・徳島県の中央で、つるぎ山と吉野川に囲まれた、緑豊かできれいな水があるところで育ちました。西も東も山でどちらにも友達が住んでいたから大自然でよく遊びました。
- Q:今日いただいた料理もそうなのですが、シェフのお料理は、中華らしくこってり見えて、いただくとすっきり、食べ飽きません。味はどんな風に決めていくのですか?
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故郷の徳島の味が原点かなと思います。関西の味つけに近く、淡い味で食材の味を活かすように作っています。
水がきれいな徳島には美味しい食材を育む素地がありますね。
「半田そうめん」というそうめんにしてはやや太めの白い麵があるのですが、水と小麦と塩でできたシンプルな素材で、いい意味で腰がない。これって中国料理の麵と似ているところがあって、醤油たれと相性がいい。担々麺にもよく合います。 - Q:ミモザは上海家庭料理がベースとのことですがその訳は?
- 中国も各地を食べ歩きましたが、香港や四川も美味しいけれど、上海に行ったとき家庭料理が美味しかったんです。淡く柔らかい味で故郷の味に通じるものがありました。
上海は気候や風土も日本と似ていて、米もあり、鶏もいて、紹興酒や醤油も作っています。
「和食に近い中華料理」なんですね。たくさんのおかずを並べて、白いごはんと食べるところも日本の食卓と似てほっとします。 - Q:阿波尾鶏を改めて召し上がっていかがでしたか?
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身質はダレずにしっかりと締まって、もも肉も手羽も大きく食べ応えがありますね。大きい鶏なのにしっかりとした繊細な旨みがあります。余分な脂や臭みもない皮がとても美味しいです。
阿波尾鶏は軍鶏とブロイラーのかけあわせでブロイラーの1.8倍ほどの飼育期間をかけ、飼料によもぎや海藻などを混ぜていると聞きましたが、そうした飼育の手間が美味しさになるのですね。軍鶏らしい旨みが魅力の地鶏だと思います。 - Q:阿波尾鶏はどんな料理に合いますか?今日の料理のコツも教えてください。
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鶏自体の旨みがあるから、しっかりした味つけの料理、辛い味にも合います。
今日の「熟成阿波尾鶏手羽中の豆豉蒸し」のようにしっかり火を通した料理は、鶏自体に旨みがあるから冷めても美味しいです。
唐揚げにしてからタレを絡め、さらに蒸すのですが、このひと手間で衣に味がしっかりのって美味しくなります。甜麺醤や豆豉で作るこのタレは、手羽だけでなく、軟骨にも合うし、ボイルしたむね肉に絡めるのもオススメです。
「熟成阿波尾鶏もも肉の海南鶏」は、たっぷりでた鶏のジュースをソースのようにいただくので、皮も美味しい阿波尾鶏だとより美味しくできます。白いごはんに肉をのせて、タレをたっぷりかけて丼にするのもいい。レモンの酸味と醤油、阿波尾鶏の旨みが溶け出したタレは、ごはんが止まらない美味しさです。





シェフのプロフィール


1983年生まれ、徳島県美馬郡つるぎ町出身。
大学卒業後に辻調理師専門学校にて中国料理を専攻。
大阪の名店『空心』、新宿の名店『シェフス』で経験を積み、料理長。
2016年より上海家庭料理を中心とした中華『MIMOSA』オーナーシェフ。
独自のセンスが光る若手料理人として注目を集める。
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